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当コーナーでは、皆様によりNGOの活動内容を知っていただくため、1〜2カ月に1団体のペースで順次NGOの紹介をしてまいります。
【バックナンバー】
第1回:ヒマラヤ保全協会 第2回:ジェン 第3回:地球の友と歩む会 第4回:日本国際ボランティアセンター
  第5回:幼い難民を考える会

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シェアが発足したのは1983年。
1980年、カンボジア、ラオス、ベトナムからのインドシナ難民救援活動をきっかけに「日本国際ボランティアセンター(JVC)」が設立されました。その時タイ国境での移動レントゲン活動や、難民キャンプでの補助給食活動などを行っていた医療ボランティアたちが、JVC内に「海外援助活動医療部会」をつくったのをきっかけとしてシェアがスタートしました。

以来、途上国において、保健医療サービスをなかなか受けられない環境にある住民の健康の改善を、彼ら自身が担い手となって実現することを目的として、保健分野に限った活動を続けてきました。
その中で、最近、活動の大きなウェイトを占めているのが、エイズへの取り組みです。

                            
                                   
(資料提供・協力:シェア=国際保健協力市民の会、編集:寄付サイト事務局)

 

現在、世界のHIV(*1)陽性者数は4030万人。新規のHIV感染件数も昨年は約490万人、1日にエイズで亡くなる人の数は13000人以上と、HIVは世界中で猛威を振るい続け、その影響は深刻度を増しています。

近年、エイズ治療薬の開発が進み、エイズの発症は抑えられるようになってきているのですが、途上国においては、保健医療システムが脆弱だったり、治療薬が非常に高価だったりするため、薬を入手できるのは陽性者のごく一部だけに留まっているのが現状です。

エイズによって生じる問題や影響は大きく、多くの若い世代が亡くなることで国や地域の次世代について懸念されているほか、残された遺児の問題や、陽性者への差別や偏見の問題など、一朝一夕では解決できない問題ばかりです。

もはやエイズにかかわる問題は、一国で解決できる規模ではなくなり、国を越え、世界中で真剣に取り組む必要が出てきています。特に、これまでのエイズの流行の中心地アフリカに加えて、今後はアジアで流行が広まると予測されています。日本のようにこれまで流行が広まっていなかった地域も例外ではなく、これまで以上の対策が急務とされます。

20年にわたり保健医療分野における活動経験をもつシェアは、プライマリ・ヘルス・ケア(*2)の理念のもと、すべての人々が心身共に健康に暮らせる社会が実現することを目指して、1990年代から、タイ、カンボジア、南アフリカ、そして日本で、エイズへの取り組みを積極的に行っています。

(*1)HIV
エイズとは、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染して起こる病気で、感染すると身体を病気から守る免疫システムが正常に働かなくなり、健康な時にはかからないような様々な病気にかかってしまう。

(*2)プライマリ・ヘルス・ケア
プライマリ・ヘルス・ケアとは、「すべての人にとって健康を基本的な人権として認め、その達成の過程において、住民の主体的な参加や自己決定権を保障する理念」と定義される。ここでの「健康」は、単に肉体の問題ではなく、精神や社会福祉の状態についても含まれる。
農業、教育、通信、建設・水利、社会、経済、文化、政治、人権などと連携して問題に取り組むことによって、初めて解決可能になるのが健康の問題であり、それが、身体の健康の問題解決だけではなく、こころの健康、地域の健康、社会の健康、平和な世界へとつながっていく。

 

シェアのエイズへの取り組みは、1994年、タイから始まりました。
主な活動は、HIV陽性者グループの支援活動と、地域住民とともにエイズの予防啓発活動やエイズ問題の解決に取り組んでいます。現地に長期滞在し地域の人々とともにプロジェクトを進めて行くことが、シェアの活動方針の一つです。

タイにおける陽性者グループ支援は、病院における陽性者の自助グループ形成、情報提供や相談を目的とした月例会や家庭訪問などの活動支援だけではなく、活動の運営を担うリーダーの育成も行っているのが特徴です。

最近は、グループ活動を自立して推進できるようになったリーダーたちの、組織運営のために必要な会計業務や申請書作成のトレーニング、月例会をうまく進行できるよう司会のための技術向上トレーニング、カウンセリングトレーニングなど、陽性者グループのリーダーがグループを運営できるように技術の向上に力を入れ、最終的には成長したリーダーたちが、地域で住民たちとともに、長期的にエイズ問題に取り組んでいけることを目指しています。  


エイズキャンペーンにてコンドーム配布をする
ボランティアグループ

エイズに影響を受けている子どもの月例会。
お互いを理解し合える仲間をつくり、一緒に
思い表現するために絵を描いています。

ンジャカ・ンジャカ村の在宅ケアボランティア

シェアがアジアで培ったエイズの活動の経験を生かそうと、2005年から南アフリカで活動を始めました。

南アフリカでは、10人1人がHIV陽性者で、親が亡くなり子どもたちだけで生活をする世帯もあり、コミュニティ自体の先行きが不安視されています。

タイのようにエイズに関する情報やARV(エイズの発症を抑制する薬)が得られにくい南アフリカでは、陽性者が孤立しがちな状況にあります。地元のNGOを中心とした140人のボランティアと共に、啓発活動や陽性者、エイズ遺児への家庭訪問を中心とした活動を進めています。

   


また、若者へのエイズ予防啓発活動については、学校の先生方との連携が非常に重要です。しかし、アジアの国々では人前で性の話題を口にすることをタブー視するところが多く、教室で性の話をすることにためらいを感じる教師が多いのです。日本でも同様な受け止め方があり、学校で性教育、エイズ教育をするなんてけしからん、という意見が相次ぎます。

カンボジアの学校でエイズ教育を実施するにあたっては、まず教師たちに男性・女性の一生を考えてもらうことから始めました。その過程で、HIV感染からどのように身を守るのかを教えるのみならず、ひとりひとりが正しい性知識を持ち、男女がお互いを尊重することがエイズ予防啓発にとって大切なことだ、という認識が生まれました。

話し合いや性教育トレーニングを積み重ねる中で参加者たちは、「“性”を教えることは“生”を教えること」「“生”とは“生まれること・生むこと・生きること・いのち・生みだすこと”」なのだという意識を分かち合い、エイズ教育は生教育・性教育の一環であるということに気付きました。


その結果、カンボジアのシェアの活動地ではこの数年で、教師の性教育・エイズ教育に対する意識が大きく変わり、自発的に活動に取り組む姿勢が現れてきました。今後、彼らが、継続的なエイズ予防啓発活動の担い手になってくれることが期待されます。


学校教師へのトレーニング。
免疫を理解するためのゲームの様子

等身大の人形を使った「からだの違いゲーム」を
通して、男女の体の違いを学ぶ生徒たち


若者のエイズボランティアチームHAATASによる、
すごろくを利用したエイズ啓発活動

一方、性感染症の危険性に関心の薄い日本は、先進国の中でもHIV陽性者が急増している国の1つです。
その背景には、やはり性・エイズ教育教育が十分に行われていない、あるいはその意義が十分に理解されていないことがあるのです。たとえば、タイでの活動を紹介するために、シェアのスタッフが日本の中学校に呼んでいただいたとき、学校側からコンドームという言葉を使わないでください、と言われたこともあります。HIV感染状況は深刻化しているのに、本当に必要な情報を伝えることができない状況なのです。

しかし日本の若者たちに、性・エイズ教育が必要なのは確かです。シェアでは、アジアでのエイズ教育の経験を活かし、若者を対象に学校やイベントでのエイズ教育、ワークショップを開催しています。また、若者から若者へエイズのことを伝えるボランティアチーム「HAATAS」も結成され、今こそ広めなければいけないエイズに関する知識を伝えるのに役立っています。
これからも、国内外のすべての人々が健康で平和な世界をわかちあうために、地域住民のニーズと地域の人材・資源に基づいた保健協力活動を展開すると同時に、住民たちが自主的に活動を行っていけるようサポートしていきます。
 
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