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当コーナーでは、皆様によりNGOの活動内容を知っていただくため、1〜2カ月に1団体のペースで順次NGOの紹介をしてまいります。
【バックナンバー】 第1回 ヒマラヤ保全協会 第2回 ジェン 第3回 地球の友と歩む会 第4回 日本国際ボランティアセンター
 
 

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「幼い難民を考える会(Caring for Young Refugees)」は、内戦によって難民となったカンボジアの子どもたちが、少しでも人間らしい環境と必要な配慮のもとで暮らせることを手助けしようと、1980年に組織されました。

子どもたちの健全な成長を支えることが平和な世界につながると考え、タイ国境の難民キャンプにおける保育活動から活動をスタート。93年のキャンプ閉鎖後はカンボジアの農村に場を移し、子どもたちが安心して暮らせる環境づくりと女性の自立支援に取り組んできました。

長年の経験と実績があるため、カンボジア政府や地域からの信頼も厚く、近年は政府からの要請でカンダール州の公立幼稚園教諭の研修などを行っています。

                             
                                  
(資料提供・協力:幼い難民を考える会(CYR)、編集:寄付サイト事務局)

 


カオイダンキャンプの様子


1980年12月、カオイダン難民キャンプにて
希望の家完成
1970年代、東西の冷戦とベトナム戦争に絡む各国の思惑の間で、カンボジアは大きく混乱していました。

70年、クーデターによる親米軍事政権の樹立をきっかけに、共産主義系勢力と新政府の間に内戦が勃発。75年にはポル・ポトが政権を握りますが、これがさらなる悲劇の始まりでした。
ポル・ポト時代のカンボジアは、教育・貨幣の廃止、文化や歴史の否定など、偏狭で独裁的な圧政が敷かれ、罪のない人々が大量に虐殺されたのです。

多くの人々が難民となってタイ国境の難民キャンプに逃れましたが、長い内戦の傷跡や財政難のなかで、子どもたちは教育も受けられず、健全に成長する環境は奪われていました。この状況に胸を痛めた設立代表のいいぎりゆきが、広く支援を呼びかけたところから、CYRの活動は始まりました。

カンボジア語の絵本や童話、文字表などを手書きでつくって配布し、滑り台や手押し車などのような体を動かす遊具をつくり、保育センターを開設し、保育者の育成に尽力したりといった保育と教育活動のほかに、人々が自立できるよう洋裁・織物・木工の職業訓練も始めました。

単に道具を提供するだけでなく、カンボジアの文化を大切にしながら、自主運営を視野に入れた人材育成を、地域の人々と協力しながら行うというCYRの保育活動は、この時代に原型ができあがりました。

『カンボジアでは保育とは子どもを集め、甘いものを与え、昼寝させることだった、と保母さんはいう。だからおやつでも用意しなければ子どもなんぞ集まらないと最初のうち、難民キャンプの人々の反応は冷ややかだった。
3ヶ月経って、カンボジアの子どもも“人間の子ども”であることがわかってきた。子どもとは生まれながらにして成長するための力…内なる好奇心、探究心に満ち満ちているのである。』
 

「子ども達の生活体験をどう言葉にかえていくか」、「具体から抽象への橋渡しをどう助けたらよいか」難民キャンプ内で作った教材を例に話し合いが続く(撮影:森枝卓士)

CYR職員や保育者、村の人々の手による手作業で
すべて作られた外遊具
91年には和平が実現し、ようやく平和が戻ってきました。
しかし、子どもの教育面では施設は貧弱なままです。創造性を育む教材や絵本は無いに等しい状況でした。

そこでCYRはプノンペン市や郊外の農村に活動の場を移し、4か所の保育所を開設。

保育者研修や遊具・教材づくりに加えて、給食や保健衛生指導などの事業にも取り組むようになりました。「教材リスト」はこちら

子どもたちは保育所で、遊んだり、本を読んだりすることを友だちと楽しむだけでなく、体を清潔に保つことの気持ちよさや、限られた食事を友だちと分け合うことなども自然と覚えていきます。

カンボジアで幼児教育を受ける子どもは、まだ全体の10%に留まっていますが、保育所生活を経験した子どもたちは、協調性や思いやりをもち、集団生活に溶け込みやすいと評価されています。
また、小学校の留年や退学が非常に多いなかで、学業継続率が高いという結果も見られ、幼児教育の意義が確認されています。

公立幼稚園教諭の保育研修の様子

カンボジア現地NGO「ケマラ」を通じ、性労働や薬物、
エイズなど様々な問題が深刻化している都市部の
保育所への支援を開始しました

現在、カンボジアの村での活動は、大きく広がっています。
4つの保育所は地域住民の自主運営をめざすものと、地元の行政へ引き継がれるものに分かれ、人材育成事業は2004年からカンダール州へも拡大しました。

カンダール州ではNPO法人エファジャパンと共同で、カンボジア教育省の要請に応えて公立幼稚園教諭の研修事業を行っていますが、この背景には、カンボジア政府の「2015年までに5歳児の75%が就学前教育を受け、6歳からスムーズに小学校で学ぶことができる」という目標と、それを受けての幼児教育への注目の高まりがあります。

この事業は各幼稚園への巡回研修と、幼稚園教諭が集まって行われる合同ワークショップで構成されており、州全域を対象に、こちらから出向いて行っての勉強会、先生の研修のための費用や交通費の負担、教材を配布して遊び方を教え合うなどの支援を、4年間継続的に行うことになっています。

NGOが現場に直接足を運んでの巡回研修はカンボジアでも画期的でしたし、それ以上に、実際のきめ細かな活動が保育の現場や自治体の信頼を得ることにつながりました。

現在では、これまで担当していたCYRの職員に代わり、カンダール州教育局幼児教育局局長をはじめとする州職員に引き継がれるなど、地域に根ざした活動へと変化しつつあります。
事業は2007年度まで継続されますが、06年度は前年の研修の評価と残りの幼稚園の研修、最終年度は意欲的な園に対して一歩深めた研修を行うなど、今後も州や郡と手を携えて子どもたちの教育に力を尽くしていきます。

 
@クメール文字表
CYRは、文字に親しむ機会の少ないカンボジアの子どもたちのために、クメール文字表を作っています。最初の文字表は、難民キャンプ時代、内戦をかろうじて生き延びた教師が子どもたちのために描いたものでした。2作目の文字表は1999年、3作目は2002年に作られました。
今ではCYR保育所だけでなく、カンボジア国内の多くの子どもの施設にも配布して喜ばれています。


カンボジアの文字、クメール文字は23の母音と33の主な子音と脚文字から成ります。子どもたちが正しい発音とそれぞれの形を覚えるのは、なかなか大変です。ユニセフの「子ども白書2005」によると、カンボジアの成人識字率は男性80%、女性57%となっています。

CYRでは、子どもたちが親しみながら文字に接することができるようにと、暮らしに密着したものを描いた文字表を作っています。
実際に子どもたちは文字表に強い興味を示し、名前を言い合って楽しんだり、文字表に文字カードを合わせて遊んだりしています。

   
A小さな絵本シリーズ
文字とイラストが見開きになった、小さな子どもの手のひらサイズの絵本シリーズです。クメール文字表の絵を使った「文字絵本」に、身近な「どうぐ」「のりもの」「いきもの」「くだものとやさい」が加わり、全5冊の小さな絵本シリーズが完成しました。
文字に興味を持ち、少し読み始めた幼児が、「ものには名前がありそれを文字で表すことができる」ことを知るための教材です。
Bクメール文字カード
クメール文字表の1マスごとに厚紙で裏打ちしてカードにしたものです。
このカードを文字表のなかにある同じ絵を探して上に置く遊びや、カルタのように絵の名前を聞いてカードをとる遊びなどが子どもたちの大のお気に入りです。



   
C記憶遊びカード(メモリーカード)
カンボジアの子どもなら誰もが知っている食べ物などが描かれた20種類のカードが2組セットで小さな布袋に入っています。
絵に描かれたものの名前を覚えたり、裏返して交互にめくり、同じ絵を合わせる遊び(記憶遊び)が人気があります。
物の名前を覚え、集中力や記憶力が養われるとともに、遊びのルールや順番を守るなどの社会性を見につけるのにも役立ちます。
文字を覚える前段階の幼児(2歳半くらい)から、幅広い年齢層までに受け入れられる教材です。
 
D歌絵本T・U
カンボジアでは誰もが知っている童話を、歌詞とカラフルなイラストで絵本にしたものです。
第1集は「ぼくの犬アーキー」、第2集は「クメールのさと」。保育所や幼稚園で、子どもたちに引っ張りだこです。

先生が詩のように読んで聞かせたり(カンボジアでは詩を独特の読み方で読みます)文字が読める子は声に出して歌詞を読み上げています。

歌は子どもたちに豊かな情操を育て、歌詞でたくさんの言葉を覚えることができます。
   
Eはめ込み子音パズル
クメール語の33の子音を、厚紙の一つひとつに記したものと、それを並べることができる木製の枠をセットにしたものです。
子どもたちは、見本をみながら木片を文字表のように並べたり、組み合わせて単語を作ったりして遊びます。

上記のほか、新しい教材を、現在研究しながら試作しています。
 
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